楽曲から振り返る「ユメステの魅力」とは何だったのか
楽曲から振り返る「ユメステの魅力」
どうもこんにちは、スコールと申します。今回は「ワールドダイスター 夢のステラリウム」(通称:ユメステ)への熱き想いを語れ!ということで、自分が感じたユメステの魅力について、特に楽曲に注目しながらまとめていこうと思います。
それでは、公演開始———。
魅力1 原典が演劇であるが故の”楽曲の奥深さ”
このユメステというゲーム、「演劇×ガールズ×リズムゲーム」と公式HPにも銘打たれているように、演劇を主題のひとつとしています。例えば、『オペラ座の怪人』や『レ・ミゼラブル』といったような現代でもミュージカルとして公演が続いている作品、『ラプンツェル』『オズの魔法使い』のような童話の舞台化、そのほか『マクベス』『橋弁慶』『スサノオノミコト』など、様々な演目を巡ってストーリーが展開されていきました。
そして、それらのストーリーに付随する楽曲は「その作品をイメージしたもの」ではなく、「劇中で実際に用いられるもの」を想定して作られています。アニメでは実際に演目の途中で「夢見月夜」や「Masquerade」が歌われている様子が描かれているので、一度でいいのでアニメ本編を観てください。本当に。各プラットフォームで見放題配信あります。マジで観てください。
話が逸れました。すみません。
「劇中で実際に用いられるもの」を想定しているので、原作を読んだときに「この場面で歌うんだろうな」という想像がしやすく、また歌詞に散りばめられた原作の要素を探すという楽しみ方ができます。以下は『マクベス』の劇中歌として書かれた「血を着飾る栄華のために」の歌詞の一部を抜粋したものです。実例をもとに、楽しみ方の紹介とさせていただきます。
「あなたは王となるのだ…マクベス」
↑この台詞が歌い出しなのなかなかキマってる
嗚呼、刻まれたのだ 呪いのような 魔女の予言の言葉が
↑原作の1つめの転換点である「魔女の予言」(内容は上にある「王となる」というもの)
(中略)
そう、運命が告げた言葉 胸につけた炎が 魂の影 ゆらゆらと踊るように映した この人生が終わる時まで この役柄を演じ続ける
↑原作では終盤マクベスは夫婦ともに狂っていき最悪の展開に向かっていくんですが、第2幕の終盤で現国王を手にかけたことで得た王座につくことが決まったあたりではまだマシな精神状態だったので「この役柄を演じ続ける」と歌えるのはこのあたりかな…?
こんな感じの楽しみ方を、フル尺5分の楽曲と1冊の原作(なんならWikipediaに載っているあらすじだけでもいい)があれば無限にできるのが1つの魅力でした。
魅力2 公開時期に完璧にマッチしたオリジナル楽曲の存在
ユメステのゲーム内には、魅力1で紹介した「演劇を原典とした楽曲」の他に、キャラクターたちの日常生活にフォーカスしたイベントと共に登場した楽曲もあります。イベントの内容も様々で、クリスマスやお正月といった季節特有のものからキャラクターの過去に注目したもの、「コスプレイベントにみんなで出よう」、「理想の飯を作って、食べてもらいたい」など、時にはっちゃけて、時にシリアスな彼女らの生活を楽しむことができました。(半年間シリアスを継続させられていた娘もいたけど)
そんなイベントと共に登場した楽曲の多くが、それらのイベントと完璧にマッチした曲調・歌詞を引っ提げています。
例として、2024年の年始イベントとして1月1日に追加された楽曲「HAPPY NEW SHOW TIME!」の歌詞を見てみましょう。
旧年中はお世話になりました!
こうして振り返ると最高の一年だったね
↑歌い出しがこれなの、あまりに年始の曲すぎる
(Let’s enjoy!)迎える日々も
(Let’s enjoy!)楽しんでいきましょう
あけましておめでとう 今年もよろしくね!
↑歌の年賀状?
次に、2023年8月に追加された楽曲「サマーバカンス☆アクトレス!」の歌詞を見てみましょう。
キラキラパワースポットへ飛び込んじゃうよ(Let’s Go!)
アッチッチのビーチ(Beach!)裸足で(Go!Go!)
心頭滅却!(アッチッチ!)
↑この歌詞を見て、夏以外に追加されたと思う人がいるかって話
この他にも「待ちわびた雪模様」だの「パンプキンのランタンで街中が綾羅錦綉」だの、他の時期に選曲させる気あります? みたいな歌詞の曲が季節ごとに追加されていったので、同じ季節を生きているんだな~と感じることができたのも、魅力でした。
魅力3 各キャラクターごとの誕生日曲の存在
イベント以外でも楽曲が追加されるタイミングがありました。それは登場するキャラクター(以下、アクターと言う)ごとに設定されている誕生日です。そしてこの追加曲が、アクターそれぞれの個性を体現した楽曲であったり、アクターどうしの関係性を表していたりと、エモの宝庫です。
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個性を体現した楽曲
- Get to Act Life♡(阿岐留カミラ)
このアクターは劇団電姫に所属するギャル系の娘なんですが、曲名の大文字になっている所をよく見てください。そうです、GAL(ギャル)になっているんです。音ゲーマーが英語の長い曲名を大文字の部分だけ繋げて略称にするのを理解ってる。 - Thirsty Soul(連尺野初魅)
劇団Edenを率いる20歳の若き天才で、コラボ先の版権キャラであろうと構わず目についた女性を口説こうとする女たらしの女なんですが、酒好きの一面もあります。20歳でウイスキーのロックをチェイサー無しでいくバケモン
ストーリーの中でよく「心の渇きを潤す」なんてことを言う彼女にピッタリのタイトルですね^^
ところで、この楽曲タイトルThirsty Soulは直訳すると「渇いた魂」になりますが、スラングとして「酒好き」という意味があります。凄すぎる。
ついでに難易度STELLAのノーツ数は823(ハツミ)になっています。
- Get to Act Life♡(阿岐留カミラ)
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関係性を表した楽曲
- 巡る暦の花のように(千寿暦)&いろはうたBLOOMING(千寿いろは)
この二人は苗字を見ればわかる通り、姉妹です。所属する劇団は異なりますが、それぞれの場所・やり方で輝くために日々努力をしています。そんな二人の誕生日曲に仕掛けられたギミックは、なんとメロディーラインが同じというもの。曲調やBPMは異なるが、メロディーは完全に一致している。
そして、この2曲のジャケットが繋がった一枚絵の一部であったことがLike Blooming Flowersという曲のジャケットで明かされるという、2段階サプライズが用意されていました。
- アイ・ウィル!(鳳ここな)&I Wanna(静香)
SEGAの音ゲーに移植されたことで知名度の高いI Wannaも、実は静香の誕生日曲(&周年記念曲)として実装されました。
静香というアクターは非常に異質で、鳳ここなのセンス1でありながら、ひとりの役者でもあることから、サービス開始から一年間は誕生日というものの存在すら定義されていませんでした。しかし「初めて単独の役者として舞台に立った日」を誕生日とすることとし、ユメステのサービス開始日と同じ7月26日が彼女の誕生日となったのでした。
そして、ここなの「アイ・ウィル!」は自分の意思・約束を表すI will… に由来するのに対し、静香の「I Wanna」は自分の願望を表していることから、「私も舞台に立ちたい」という願いを表現した楽曲であることが分かります。
「いつだってふたりで」と歌うここなに対し「一緒にいたい ただそれだけでいい」と返す静香の良さよ。
- 巡る暦の花のように(千寿暦)&いろはうたBLOOMING(千寿いろは)
魅力4 クラブ向けの”やれる曲”の存在
先程、イベントの季節とマッチした曲については触れましたが、一方で全シーズンいける最強の曲も存在し、その中でも「もっとバズっていい」「ユメステだけに留めておくのは勿体なさすぎる」と評される楽曲たちがあります。
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絶対!ニーデリッヒ宣言♡
本っっっっ当にこの曲にはバズって欲しい。つい最近公式からMVの供給もありました。音楽イベントでは\カワイイ! カワイイ!/といったコールに全身全霊を捧げているオタクが沢山いますが、まだまだ曲の楽しさに知名度がついてきていません。マジでなんかの拍子でめちゃくちゃバズって欲しい。 -
蜃気楼の向こう側、君は笑ってくれるかな
「ラスサビ言い直し転調跳びポ」という、①最後のサビに入るときに、同じ歌詞が2回続く ②最後のサビで転調する ③一拍の間、リズム楽器の音が無い状態から、次の拍で一気に復活する(そのタイミングで跳ぶ) の3要素が詰まった最強の楽曲。もっと色んな人がこの曲を知れば、各地のアニソンDJクラブでもバンバン流れるはず。 \転! 転! 転調来るぞ!/ -
バブリック・ビューイング!
ガッツリEUROBEATサウンドで優勝。タイトルにもバブリックとあるように、1980年代の華やかさを現代に持ち越したような楽曲で、本当にどこのアニクラで流してもハズレないという自信がある。 -
深度異症候群-Shindoi Syndrome-
SNSをはじめとするインターネット社会での承認欲求を「症候群」と呼ぶ肝の据わり方よ。NEEDY GIRL OVERDOSEが好きな人間はこの曲もハマると思う。ユメステとHAL専門学校が産学連携プロジェクトを行ったときに生まれた学生によるMVもクオリティが最高なのでマジで観てください。
この他にも、もっと知られてもいい楽曲が山のようにあり、現在でも精鋭のアニソンDJたちが日々各地で布教活動をしてくれています。せめて楽曲だけでも多くの人の記憶に残ってほしいと、切に願っています。
魅力5 文脈のある”ボス曲”
いきなりですが、皆さんは「音ゲーのボス曲」といえば、どんなものを想像しますか? 大抵の音ゲーマーは、「音ゲーコアに特化した作曲者が作る、音数とBPMの暴力からなる難曲」などのイメージを最初に抱え、ボーカルの歌詞の内容がどうのこうの…みたいな話は中々出てきません。なぜならボス曲が音数の暴力から作られている場合、ほとんどボーカルの無いものや、歌が無い部分がムズすぎる、みたいなものになりがちだからだと考えています。あとは世界観に関係なさすぎる歌詞で作られている、怪獣になりたそうな曲だったり
では、ユメステのボス曲はどうなのかというと、歌詞とストーリーのリンクが物凄いので、各劇団から代表で1曲ずつ紹介していきます。
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電脳スペクタクル
0.5周年記念として登場した楽曲で、タイトルの「スペクタクル」は芸能の世界において「視覚的に強い印象を与えるような大掛かりな場面や出し物」という意味を持ちます。ここで、公式のMVをひとつまみ。
2.5次元舞台を1つの持ち味としている劇団電姫のメンバーが2次元と3次元の狭間に存在することを示すように、PCの画面風の背景のときは歌詞もドット文字で、サビの3D空間が背景のときは歌詞の文字も斜めが滑らかなフォントを使っていたりとめちゃくちゃ細かい話が無限にあるんですが、歌詞の中に「誰かの真似してキラキラを纏っても 私が私で居なくちゃ意味ないんだ」とあるのがこの曲の文脈ポイント。”演じる”とは一体どういうことか、についての彼女らの答えを色濃く表現した一節だというのが伝わってきます。(特に電姫は個性がありえないぐらい強い) -
I Wanna
先程「関係性を表した曲」として紹介しましたが、登場時はユメステ史上初のOLIVIER Ⅹ(10)を引っ提げてきた、周年ボス曲です。 既に紹介済みなので簡単に済ませますが、静香の願望を強く歌った楽曲になっており、この周年を契機に、静香も一人のアクターとして舞台に立つようになりました。 -
ヱテルナ・ガラクシア
ヱテルナはEternal(永遠の)、ガラクシアはGalaxy(銀河) ということで、銀河座という劇団の在り方、「演目を永劫へと紡いでいく」ということについて書かれた詩になっているのですが、この曲が出される前の銀河座のメインストーリーでは何が起こっていたのかを軽く説明します。銀河座の劇団員たちは「伝統」と「革新」の両方を求められている難しい状況の中で、新しい解釈の『マクベス』を演じきりました。その『マクベス』で、主人公のマクベスと夫人を演じた2人が、この曲を歌っています。「変わらないことだけが永劫ではない」という想いが、伝わってきます。 -
カルぺ・ディエム
タイトルであるCarpe diemはラテン語で「その日を摘め」、転じて「今この瞬間を楽しめ」「今という時を大切に使え」という意味。
この曲はEdenの舎人仁花子と烏森大黒の二人による歌唱で、この曲が公開されるまでのEdenのストーリーの中に、リーダーである連尺野初魅に妹がいたこと、そしてその妹は既に亡くなっていること、妹に誓った「自分のやりたい劇をする」という約束について明かされるシーンがありました。つまりEdenとは初魅の求める”理想の楽園”であるということです。
ここまでを踏まえた上で、本楽曲の歌詞に注目すると、「唯一つ 他にはないこの舞台」という言い回しが何度も登場します。この詩から分かるのは、Edenが初魅にとっての理想の楽園であると同時に、所属しているアクターたちにとってもたった一つの大事な場所であるということです。
そんな大切な場所で、「今この瞬間を楽しむ」ことが彼女らにとって何よりの理想である、というのが犇々と伝わってきます。
その他、2.5周年記念楽曲「エクストラ・エキストラ!-Extra Extra-」や公式大会決勝楽曲「RAREFIED HEIGHTS」「グローリー・ワンダーランド」も歌詞から考察・ストーリーの反芻が無限にできるものになっているので、サービスが終了してしまう前に一度、歌詞を読んで、曲を聴いて、歌唱アクターのことを考えてみてください。 それはそれとして譜面は普通に難しいのでプレイ中に聴き入る程の余裕はないんですけどね
さいごに
ここまで魅力について語ってきたユメステも、2026年9月29日をもってサービスが終了してしまいます。『ワールドダイスター』というコンテンツ自体はメディアミックスプロジェクトとして存在し続けるのですが、新曲の公開や劇団ごとのストーリーの進展は別形態のゲーム作品が生まれない限りは難しいと思うので、実質コールドスリープ状態になると言っていいでしょう。ただ、このゲームから生まれた楽曲の数々はサービス終了後も輝きを放ち続けます。そんな残された輝きとともに、これからも歩んでいこうと思います。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
本当の最後に、紹介しきれなかった個人的に特に気に入っている楽曲たちを載せておきます。
幾億の星の空で
Dear My Eden
アンチ・サニーデイズ・カレンダー
ハートフル・レシピ
Aschenputtel
Footnotes
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役者が舞台で発揮するその役者特有の個性であり、本人あるいは周囲に作用する特別な力のこと。 ↩